第2章 目指す先

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「ノックって、こんな楽しかったっけ?」 六日町がはしゃぐ。七尾もテンシ ョン高く話に乗っかる。 「しかも体力がついたのか、体が 軽いし、余裕!」 実は陸上部の練習で二時間、キャ ッチボールや体操などウォーミン グアップで一時間、ゴロを打つ練 習、バント練習で二時間を費やし ていた。 それをつい最近まで二週間。守備 練習をほとんどしてなかったと言 っていいだろう。 そして試合を控えた一週間前、麻 生就任から久し振りのノックでみ んなテンションが高いのだ。 そして二時間を過ぎた頃、 「休憩。次はボール回し」 と、麻生が練習メニューを告げ、 グランドを後にする。湯河原はス トップウォッチを持って八王子に 近づく。 「八王子、後は私に任せて。練習 は私が指示するから」 そしてウィンクして微笑む。八王 子は少しずつ体温が上昇するのが 分かった。 (やべ、かわいい……) 「八王子? どうしたの? ぼー っとして」 「ん? あ、ああ、分かった」 「んじゃ、よろしくね~」 (なんか、オレ、ドキドキしてる な……。どうしたんだろ?)
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