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どうやら箱の中身は一匹の猫らしい。
『あなた、何処の猫?』
『…』
部屋にいた雄猫は、私に気づいても喋らない。
『何故喋らないの?声が出ないとか?』
『…飼い主は居ない。此処もどうせ、俺を追い出すさ』
『どうして?』
『本当の飼い主は友達に預け、飼い主は引き取りに来ない。そして今度は友達は友達に押し付けたんだ』
「絶対に捨ててよ」
『ほらな。今度は捨てろだと…もう良いだろ』
雄猫はそっぽを向くと、箱に戻った。
三人目の人間は猫を睨んだが、頭を撫ではじめた。
「アンタも可哀相ね。でも団地では猫は飼えないの」
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