第五話 親の顔が見てみたいっていうけど、実際見たら大抵酷い顔

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※※※ あかりに頼まれて(強制的に)風紀委員会で使用する資料の束を持たされながら、特別校舎をあかりの後ろに付いて歩いていた。 「しかし、あかりはダメダメだなぁ……」 前を歩くあかりの背中に声を掛ける。 「あによ」 肩越しに振り向いて、こっちを見て来る。 「あそこであんなシラケる事、普通言うかね?」 「しょうがないでしょ、ホントどうでも良かったんだから」 「くだらない事を楽しく話す!そこに痺れる憧れる!」 「はいはい。いいからさっさと行くわよ」 「へいへい」 ため息をはきながらあかりと並んで歩いていると、廊下の向こうから見知らぬ女子がこちらに向かって走って来るのが見えた。 「委員長、大変です!」 「コラッ!廊下を走るんじゃない」 律儀に注意するのがあかりらしい。それでも、その女子は速度を緩めないでバタバタと走り、俺達の前で急停止した。 「大変何です!」 「どうした、そんなに慌てて」 その女子は両手をブンブンと振って、大変さをアピールしている。誰の目から見ても慌てているのが分かる。 「風紀委員会と学年委員会との合同会食で集団食中毒が……!」 「何ッ!?」 ※※※ あかりと俺がその女子に案内された特別教室に入ると、そこは酷い有り様だった。
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