第一話 悲しい時、瞳から溢れる涙は熱くてしょっぱい

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ついさっき、このオッサンは俺に因縁つけて来た。 俺はただ、このオッサンの後ろにあった時計を見てただけだったんだけど……。 いつもこんな調子だ。 道を歩けば不良に絡まれ、店に入ればヤクザに絡まれ、家にいれば強盗に絡まれる。 俺は生まれつき目付きが悪い。 おまけに、特定の人種をイライラさせるオーラというか……雰囲気があるらしい。 特定の人種とは不良・ヤンキー・チーマー・暴走族・ヤクザ・マフィア等々……一言で言えば駄目人間の攻撃対象に問答無用でなっちまうんだよ。 おまけに運もない。プラス方面はおそらく普通の人よりちょっとだけ良いだろう。お菓子の金の天使も当たった事もあるし、当たり付アイス……ボリボリ君も何度も当てているし、拾った宝くじで十万当たった事もある。 しかし、マイナス方面はその運を簡単に帳消しにして、人生総運勢をブッチギリでマイナスにする程酷い! 日本に存在するほぼ全ての車種の車に轢かれている(世界広しとはいえ、パトカーと救急車と消防車に轢かれた人間は俺が初めてだろう…)し、工場現場で鉄骨の下敷きになったのは十回以上はある。 強盗に遭遇した事は五十回以上あるわ、火事に巻き込まれた事は十回以上あるわで、人生の半分以上死にかけている。
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