第一話 悲しい時、瞳から溢れる涙は熱くてしょっぱい

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「え~と……俺のメシが無いんですけど」 食卓の俺の席の前には何も置かれてなかった。親父の席にも無いのは、今日が飲み会の日だからだ。 「帰ってくるのが遅いから食べちゃった。はーと」 食べちゃった。はーと……じゃねぇぇ! 「いやいやいやいや!意味分かんないし!何で俺が帰ってくるのが遅れた事と、母ちゃんが俺のメシを食っちゃう事に繋がるんだよ!」 「繋がるわよ!てっきり外で友達と食べて来るって思ったから、残したら勿体無いって思ってね」 「何でそのジャッジが十分で下るんだよ!つーか、食べる時間考えたらもっとジャッジが早かったんだろ!」 今日は無駄な運動(ヤーサン事務所壊滅&事務所から自宅にダッシュ)で腹が減っている。 「だったら電話の一本でもすればいいでしょ。メールでもいいし。何の為の携帯電話よ」 「グ!」 やっぱり母ちゃんには口で勝てない。 どう考えても、十分帰宅が遅れただけで晩飯が無いのは酷いと思うのは俺だけじゃない筈だ! だけど、渋々納得する。確かに連絡しなかった俺にも落ち度がある。 腹が減って目眩がしそうだ。成長期の健全男子に夕飯無しは死刑に等しい。 俺は流しの下に買い置きしてある(俺が買って来た)カップ麺を探し始めた。カップ麺では心もとないが、この際贅沢は言ってられない。
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