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「…………」
「…………」
朝の職員室で、俺と担任の涼子先生は黙って見つめ合っていた。
別に愛を確かめ合っているのではなく、俺の報告に涼子先生が絶句しているだけだった。
「……すまんが神山、もう一度言って貰えるか?」
いつもの禁煙パイポをガリガリ噛みながら、涼子先生は頭を抱えた。
「昨日親に捨てられたので、生活費を稼ぐ為にアルバイトの許可を下さい」
「…………」
出来るだけ分かりやすく説明したつもりだったけど、涼子先生はまた絶句してしまった。
涼子先生が戻って来るまで、昨日如何ように俺があの戦場を切り抜けたかご覧下さい。
※※※
この危機的状況を回避する為に俺がとった行動は、まず神楽からの電話を切る事から始まった。
神楽からの電話を切り、ケータイの電源も落としておく。
次に春魅の背中を押して玄関までエスコートして、「また明日!」と爽やかに笑って送り出した。すぐ近くに少佐がいる事も確認したが、確かにいたので容赦無く玄関に鍵をかける。
あとはゆっくり風呂に入って明日に備えれば……。
「コラ」
絶妙なタイミングで足を引っ掛けられ、うつ伏せに転倒した俺の背中にあかりが乗ってきた。
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