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ゴミ袋
うだるような暑さ。
アスファルトは熱を帯びて庭木も塀も目に入る物体は揺らめいて見える。
住宅の一画にあるゴミステーション。
そこに一つぽつんと半透明のゴミ袋が捨てられていた。
ゴミの収拾日以外に捨ててはいけない決まりだったが非常識な人間は何処にでもいる。
地区ではゴミ担当が割り振りされていて収拾日以外は担当が捨てた当人を探すかゴミを預かる事になっていた。
女性が一人。
ゴミステーションに近づく。
ハウスウェアでラフなスタイルから近所に住んでいるらしい。
まだ年若く見えるが今回のゴミ担当だった。
「庭先に入れるにもこの季節じゃ嫌よね、臭ってきそう」
ビニール手袋をした手で小蝿がたかるゴミ袋を恐る恐る開いた。
むわっとした臭気が漏れ出る。
「うっわ、捨てたの誰よ最低!」
咄嗟に顔を反らす。
横目で袋の中身に名前が書いた物が入ってないか確認した。
「食べ物の生ゴミばっかり、うちで預かるしかないのかぁ」
諦めて袋を閉じようとしたその時。
何かが袋の中でうごめいた。
女性が不思議そうに中を覗く。
腐りただれた赤子が目を見開いてじっと見つめている。
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