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自分で遺書全部を読める自信が無いから。そう言われて、俺は声を震わせながら読んだ。ナキリは……声を上げて泣いた。
この遺書を見つけた時は間違いなく自分はこの世にいないだろう。そう最初に前置きして。
自分の死に囚われないでほしいと。どうか、自分の死を悲しんだ後は、笑っていてくれと。
そして。
どうか自分の事を忘れないで欲しい、と。
やっぱり、じいさん。あんたは凄いよ。
あんたが死んでも。葬式があっても。火葬場であんたの遺骨を拾っている時も。
ナキリは泣かなかったのに。
あんたの優しい言葉が、想いが。どんどんあいつの心を溶かしていく。
死んでもなお、あんたには敵わない。
俺は泣いているナキリを抱き留めることしか出来なくて。ただ、俺自身の無力さを噛み締めていた。
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