第一話 ~小さなアルバム~Side ヒビキ

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自分で遺書全部を読める自信が無いから。そう言われて、俺は声を震わせながら読んだ。ナキリは……声を上げて泣いた。 この遺書を見つけた時は間違いなく自分はこの世にいないだろう。そう最初に前置きして。 自分の死に囚われないでほしいと。どうか、自分の死を悲しんだ後は、笑っていてくれと。 そして。 どうか自分の事を忘れないで欲しい、と。   やっぱり、じいさん。あんたは凄いよ。 あんたが死んでも。葬式があっても。火葬場であんたの遺骨を拾っている時も。 ナキリは泣かなかったのに。 あんたの優しい言葉が、想いが。どんどんあいつの心を溶かしていく。 死んでもなお、あんたには敵わない。 俺は泣いているナキリを抱き留めることしか出来なくて。ただ、俺自身の無力さを噛み締めていた。  
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