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「そっか。もうそんなに時間が経っちゃったんだ……」
ナキリが驚きながら呟いた。俺は少し笑ってナキリに言ってやった。
「じいさんの墓参り……。また行かないとな」
そうね、と言って微かに笑ったナキリ。それは俺にとってとても魅力的で。
この笑顔を誰かに見せるのが心なしか悔しくもある。
なぁ、じいさん。
あんた、俺に宛てた遺書に書いたよな?
‘わしが居た頃より幸せにしてやってくれ’って。
そりゃ無理だ。あんたはナキリの中で大きすぎる存在だからな……。あんたより幸せにしてやれる自信は無い。
でもさ。あいつと俺に新しく訪れる日々を幸せにする自信はあるんだ。
「ヒビキ。そろそろ掃除、再開しましょ?私はこれ、置いてくるから」
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