第一話 ~小さなアルバム~Side ヒビキ

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「開けていいか?」 ナキリが頷くのを確認して、俺はそのアルバムを開いてみる。 「あ……。これ」 「懐かしい……。小学生最後の、花火大会の写真ね、それ」 俺とナキリが浴衣姿で笑って写ってる。傍から見たら初々しくて可愛らしいカップルにしか見えなさそうで、思わずニヤニヤしちまうな。 俺はいつも通りの髪で、紺色の浴衣着てる。ナキリは藍色の浴衣で、珍しくツインテールにしてて……。うん、やっぱり綺麗だし、可愛いよな。 H18.8.2……。確かに花火大会の日にちだ。 「そういえば……。これ、帰り道の写真だっけ。星が綺麗だったよな」 あの日に見た星はすごく綺麗だった……。 「星の方が綺麗だったしね」 アルバムと一緒に思い出される記憶……。とても、とても懐かしく、優しい記憶だった。  
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