第一話 ~小さなアルバム~Side ヒビキ

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「……お腹すいた」 そうナキリが呟いて、自分の焼きそばを黙々と食べ始めた。正直、ムードの欠片も無い。 だけど……。幸せ、だった。 (だんだん笑うようになったな……ナキリ) 二年前――。ナキリは、本当に信頼し、尊敬していたおじいさんを失った。……心筋梗塞だった。苦しんだのはほんの一瞬で。意識の無いうちにぽっくり……。逝ってしまった。 俺も、ナキリと一緒に呼び掛けた。必死に、どうかこの声が、じいさんを少しでも助けてくれるようにと。 ……そのしわがれた、柔らかな声で、俺とナキリの名前を呼ぶことは二度となかった。 じいさんのすぐ横にあるモニターが……。じいさんは生きていないことを示唆して、俺はどうしようもなく、泣いた。泣き喚いた。   「嘘だろ?だってあんなに優しい顔してるじゃねぇか。眠ってるだけだろ?今にも起きそうじゃないか」  
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