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「……お腹すいた」
そうナキリが呟いて、自分の焼きそばを黙々と食べ始めた。正直、ムードの欠片も無い。
だけど……。幸せ、だった。
(だんだん笑うようになったな……ナキリ)
二年前――。ナキリは、本当に信頼し、尊敬していたおじいさんを失った。……心筋梗塞だった。苦しんだのはほんの一瞬で。意識の無いうちにぽっくり……。逝ってしまった。
俺も、ナキリと一緒に呼び掛けた。必死に、どうかこの声が、じいさんを少しでも助けてくれるようにと。
……そのしわがれた、柔らかな声で、俺とナキリの名前を呼ぶことは二度となかった。
じいさんのすぐ横にあるモニターが……。じいさんは生きていないことを示唆して、俺はどうしようもなく、泣いた。泣き喚いた。
「嘘だろ?だってあんなに優しい顔してるじゃねぇか。眠ってるだけだろ?今にも起きそうじゃないか」
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