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「なんでこんな大きな声で叫んでるのに聞こえないんだよ!耳が悪くなったか!?……それとも、本当に声が届かない場所に、逝っちまったのかよ……っ!」
大声で泣きながらそう怒鳴る俺の隣でナキリは、泣くことさえ出来ずに。ただ受け入れがたい事実に茫然としていた。
ナキリの叔父さんによって、葬式が慎ましやかに行われた時も、泣かなかった。……泣けなかった。
葬式の日からあいつは前よりもずっと塞ぎ込んで。俺にさえ、その心を閉じた。
あいつに冷たくされるよりも、傷付いた心を見せようとしない方が傷付いた。
そんな時だ……。ナキリとじいさんの遺品を片付けてる時、あの人の遺書を見つけたのは。じいさんと俺とナキリが写ってる写真立てにひっそりと。
写真を隠れ簑にして。
俺宛てと……ナキリ宛て。そして叔父さん宛てにそれぞれ封筒があった。
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