とっておきの地獄・新たなる援軍を求めて

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綾颯「ん…んぅ……。」 目が覚めた綾颯。 だが、意識がまだしっかりしていない。 すると側から… ???「! 気づかれましたか?」 女性の声が聞こえた。 視線を動かすと、ひとりの少女がこちらを見ていた。 綾颯「えと、貴女は――痛っ!!」 ???「あ、まだ動かないほうがいいですよ!?」 痛みの走った右腕を見ると、薬草が張られているのがわかる。 ???「岩肌で擦り剥いたのです。覚えていませんか?」 綾颯「えと……河に落ちたのは覚えているのですが……」 ???「そういえば、貴方空から落ちて来ましたけど……まさか、黄巾賊ではないですよね…?」 綾颯「黄巾賊?……なるほど…。」 どうやら僕は『世界移動』には成功したが、目的の世界には行けなかったようだ。 だがもう一度やる力はない。 新しい三国志…ここで仲間を募って光秀たちのいる世界に戻るしかない。 ???「…あの、どうしました?」 女性が不思議そうに聞き返してくる。 そこで僕は改めて聞いてみた。 綾颯「僕は黄巾賊ではないですよ。ところで、貴女は?」 ???「そうですか。私は『性は周、名は泰、字は幼平』と言います。」 綾颯「……え?」 その言葉に僕はただただ驚く事しかできなかった。 周泰…綾颯に初めて仕えた者の一人。 しかし、その周泰とは背丈・声・髪、何もかもが違っていた。 綾颯は昔の周泰と今目の前にいる周泰は似ても似つかない。 などと思い出に浸っていると…。 周泰「……あの、どうかしましたか?」 黙っている時間が長かったのか、心配そうに言ってくる周泰。 普通ならば『大丈夫』と答えるはずだが、綾颯の思ったことは違った。 それは……。 綾颯「運命、なのかな……。」 周泰「え?」 綾颯は『これは正(まさ)しく天命』と思った。 そして綾颯は言葉を続けた。
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