とっておきの地獄・新たなる援軍を求めて

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綾颯「僕は…(この世界での)名はありません。あえて名乗るのなら…『綾颯』です。」 周泰「綾颯ですか。珍しいお名前ですね?」 綾颯「はい、よく言われます。ところで周泰さん。」 周泰「周泰で構いませんよ。」 綾颯「そうですか。じゃあ…周泰。見たところ、貴女も武人のようだけど…誰に仕えているの?」 そう聞くと、周泰は無言で首を横に振った。 まだ誰にも仕えていないようである。 それを確認すると、綾颯は間をおかずに言った。 綾颯「周泰、一緒に義勇軍として黄巾討伐に行かないか?」 周泰「黄巾、討伐に?」 綾颯「そう。」 周泰「ですが、既に義勇軍は討伐に出立してしまってますよ?」 綾颯「なら今から一緒に行こう!!」 そう言うと綾颯は周泰の手を握った。 周泰「!?」 急な行動に驚く周泰。 だが綾颯は気にせずに続けた。 綾颯「君の力が必要なんだ、周泰! 乱世を終わらせる為、共に戦ってくれ!!!」 周泰「……………」 周泰はまっすぐ綾颯の目を見た。 綾颯は一瞬たりとも視線を逸らさなかった。 そして周泰は口を開いた。 周泰「相応の覚悟が、お有りですか?」 綾颯「覚悟なんて、既に決まってるよ。」 周泰「……今からですと、十日程かかるかもしれません。」 綾颯「……え?」 周泰「綾颯殿、貴方の志を黄巾賊討伐で、私に示してもらえますか?」 綾颯「もちろんだ!」 綾颯は力強くうなずいた。 その目には迷いは無く、強い意志が見えていた。 周泰は、この黄巾討伐で綾颯の意志を大きさを測ろうとしていた。 周泰「ところで綾颯殿、貴方様の武器は…?」 綾颯「あ……。」 武器の事を忘れていた綾颯。 そして綾颯は、近くの茂みの中に入っていった。 周泰は状況がわからず、ただじっと待っていた。
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