第五章

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そう、彼は元木蓮軍人だった。 だが、木蓮大戦直後の、青年士官達を中心とするクーデターに加担。 その後、ネルガルに雇われる事となり、主に情報部を専門にしているが、彼自身の体術、パイロット技術は高い。 実際、火星クーデター時に、ネルガルの新型機アルストロメリアにて、占拠された司令部を奪還している。 ツクヨミ「閣下、僅かですが新たな情報を入手しました。」 そう言うと、手に持っていた書類をコウイチロウに渡した。 コウイチロウは早速それに目を通した。 読み終えるまで、然程時間は要しなかった。 コウイチロウ「ムウ……まさかとは思っていたが……。」 それは、火星の後継者に関するデータだった。 それによれば、反乱分子となる手先は既に宇宙軍内部に回っている可能性が高い、というものだった。 さらにいえば、近日中(一週間以内)には行動がかいしされるかもしれない、という事だった。 ツクヨミ「残念ながら、反乱分子の特定には至っておりません。」 コウイチロウ「いや、そうだとしても、これだけ活動期間を絞り込めたんだ。対策の余地はあるよ。」 コウイチロウはツクヨミの情報網に感心を示し、頷いた。 コウイチロウ「ご苦労だった、ツクヨミ君。引き続き、彼らの動向を探ってくれ。」 ツクヨミは一礼すると、部屋を退室していった。 コウイチロウ「そうだ、カザマ君。」 何かを思い出したらしく、カザマに尋ねた。 コウイチロウ「大和武の試験運航日は、今日だったね。」 カザマ「はい。」 そう、今日は新型戦艦『大和武』のテスト航海があったのだ。 今頃、ドックは慌ただしいだろうな……と、呟いた。 横須賀― ネルガル、ドック― コウイチロウの予想どおり、ドックは慌ただしい状況だった。 あれから、さらに急ピッチで建造が進められ、その結果、遥かに時間を短縮したのだ。 これも、真田、大山、そして整備員達の力によるものだった。 戦艦『大和武』艦橋― 艦橋には、要因スタッフが揃っていた。 山崎「機関室!後3分でエンジンを始動させる!最終チェックを怠るなよ!」 古代「総員、配置につけ!これより、大和武はテスト航海に向けて、発進する!」 一方の艦外の方では、発進に巻き込まれぬために、作業員達が退避していた。 大山「艦長、大方、作業員の撤収が完了したぜ。」 古代「わかりました。」 頷いた古代。 遂に、飛び立つときがきた。 島「送転移エンジン、始動!」 山崎「送転移エンジン、始動します!」 補助機関である送転移エンジンが唸りを上げる。
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