序章

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宇宙戦艦『ヤマト』が自沈してから丸1年……。 地球はディンギル帝国に徹底的に破壊・壊滅させられたにも関わらず、見事に復興しきっていた。 再起不能だった、宇宙空港や、ターミナル・コロニーも半数以上が回復している。 民間人にも1億人という、相当な死者を出していたが、その恐怖も和らいできていた。 最も力を入れたのが、宇宙艦隊の再興だった。 何せ、ディンギル帝国との戦いが終結した時点で残っていたのが、戦艦『武蔵』『ナデシコC』『ユーチャリス』『ライラック』、巡洋艦『矢矧』、駆逐艦『冬月』『雪風』の計7隻だけだったのだ。 しかも、半数が大破か小破といった具合で、修理に時間は掛からなかったが、装甲の耐久性が問題視されていた。 しかし、新たに開発されたスペース・チタニウムで補われ、不安は取りのぞかれた。 完全修復した後、やる事は山ほど残っていた。 孤立した月、火星、木星、土星の各生存者の救出または物資運搬などである。 それを行えるのは、先の残存艦しかない訳で、ユリカ達には加重労働の連続だった。 ここで、ある程度の現状を伝えたい。 まず、ヤマトを失った古代達。 艦が無いからといって、弄ぶ事は出来るはずがなく、武蔵や冬月に乗り、運搬作業の手助け、あるいは、各施設の復旧作業に取り組んでいた。 そんな事もあり、現在まで回復した訳だが、ほかにもある。 まず、古代達の移住場所である。 そして、軍隊としての扱いだった。 ここらは、コウイチロウの努力によって目処がついた。 移住場所は、個人に選ばせる事にしたが、やはり別の地球とあって、やや抵抗があった。 古代や雪は地球に移住する意志を表明し、難なく承諾された。 中には月基地で住む者も多かった。 そして、軍隊の待遇は地球連合宇宙軍に転属する事となった。 階級などは、引き続きで構わない、との事で、古代等に関しては昇進の辞令までが下ったくらいだ。 今では、元ヤマト乗組員達はバラバラではあるが、佐渡の面倒もあって、不自由なく働き暮らしていた。 もう一つ、テンカワ・アキトの処罰に関してではあるが、これもコウイチロウの努力によって、免れ、再びユリカ、ルリと新しくラピスも加わって暮らしている。 コウイチロウ曰く「娘のお願いなら聞いて(叶えて?)あげる!!」との事。 恐ろしい程の親馬鹿ぶりを披露した瞬間でもある。 こんな簡単に犯罪歴を消す長官など彼しかおるまい。 そうつくづく感じさせられるアキトだった。
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