第一章

3/10
前へ
/337ページ
次へ
レーダー手「識別反応グリーン! 戦艦『ナデシコC』、独立部隊です!!」 艦橋のスクリーンに映るナデシコCは多数の艦艇を従えていた。 今までナデシコ独立部隊とは言っても、ナデシコ1隻しかいなかった。 そこで、宇宙軍の艦隊再興委員会の決定で、数隻の戦闘艦が回されることになった。 元は、ワンマン・オペレーションを考えられた戦艦『ナデシコC』。 古代はディンギル戦の最中に、初めてナノシステム(ナノマシン)処理による人体改造を知った。 初めは、信じがたい話ではあったが、人型機動兵器『エステバリスⅡ』のコクピットを見て実感させられたのだ。 IFS式の操縦方法で、ナノマシン処理を受けた者のみの意志に従って自由に動かせる。 話がズレた。 ホシノ・ルリやマキビ・ハリ、そしてラピス・ラズリのような者が、情報処理能力に特化したナデシコタイプに乗り、そこから1人で無人艦を操り手足の一部にしてしまう。 はなから1人1個無人艦隊、とう計画だったらしいが現在は不明である。 しかし、無人艦隊は古代にとって珍しいものでもない。 前世界の地球防衛軍にも、無人艦が配備されていた。 ただし、有人旗艦からの司令電波がなければ、ただの鉄屑に等しい。 旗艦がいなくとも、地球にあるコントロール・センターからでも動かせるが、結果は無残だった。 暗黒星団帝国という侵略国家の艦隊と、当時の無人艦隊が戦ったが、見るも惨敗だった。 後方を突かれ、奇襲の対応が遅いのを好機に、乱戦に持ち込まれ、しまいにはコントロール・センターが破壊されて、身動きが出来なくなったのである。 しかし、人手不足を補うために無人艦は続けて建造された。 ただ、無人艦だけでなく有人艦も折り込んだ艦隊編成であった。 いくらかは欠点は改善されたが、否めない所があるのもまた事実。 古代「ナデシコ部隊は帰投中か?」 オペレーター「はい。どうやらそのようです。」 ナデシコ独立部隊― 旗艦『ナデシコC』艦橋― 同、オペレーター『マキビ・ハリ』中尉― マキビ「レーダーに艦隊反応。」 司令官『テンカワ・ユリカ』少将― ユリカ「どこの艦隊?」 マキビ「所属判明。宇宙軍第3護衛艦隊です。」 ユリカ「古代提督の艦隊ね。」 艦長『ホシノ・ルリ』大佐― ルリ「丁度良いタイミングに出会いましたね。」 相変わらずな美貌の名コンビ?は口にした。 ユリカ「また長引いちゃったわね……雪さんに迷惑が掛かっちゃうわ。」 ルリ「大丈夫ですよ。アキトさんもいることですし。」 ここ1ヵ月近く帰っていなかったのだ。 その間、先も述べた通り、アキトと森にラピスの世話を任せっきりなのである。
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!

161人が本棚に入れています
本棚に追加