第一章

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ユリカ「早く帰って、ラピスちゃんの成長した姿見なくちゃ!」 一人で有頂天になるユリカ。 操艦士『ハルカ・ミナト』― ミナト「1ヵ月近くでそんなに変わらないわよ?ねぇ、ルリルリ?」 ルリルリとは、他でもないホシノ・ルリを示すわけだが、この愛称はミナトが付けた名だ。 木蓮大戦で初めて会った時からそう呼ばれている。 因みに、ラピスの場合は『ラピラピ』だとか。 ルリ「それでも、1ヵ月も会っていませんから、高ぶる気持ちは同じです。ですが……。」 ユリカ「?」 首を傾げる。 ルリ「今日は大切な日です。それも、忘れていませんよね?」 が………。 ユリカ「……何だっけ?」 拍子抜けしたように、艦橋の他の者がずっこける。 ルリは想定済みらしく、動揺していない。 ルリ「お忘れですか、今日は丁度1年後ですよ?」 対するユリカは、10秒程考え込んでいると、ポンッと右手を軽く左手に乗せた。 ユリカ「思い出したわ。」 取り敢えず、安堵のため息が出た。 皆して(ボケてないな)と見事なくらい一致して思った。 副長『タカスギ・サブロウタ』大尉― サブロウタ「しっかし、時間が経てば、結構あっというまですね。」 それには、皆同意見である。 あれだけ無残に破壊されていた地球が、1年経つか経たない間に、瞬く間に復興してしまったのだから。 それだけではない。 壊滅状態の宇宙艦隊までもが、全体の85%(わかりやすく言えば、警備艦隊などを除き、主力7個艦隊の内5個半艦隊分くらい)を揃えている。 後に説明するが、この艦隊を構成する戦闘艦は新鋭艦揃いだ。 マキビ「提督、間もなく大気圏内へ突入します。到着予定時刻は11:00です。」 ユリカ「わかったわ。」 場所は変わり日本。 東京区― マンション『海羊』― 10階建てのマンションの3階に古代宅とテンカワ宅が離れてはいるが、住んでいる。 テンカワ宅― ここでは、アキトがキッチンで一人、いつものように味の研究に没頭していた。 復讐鬼だった彼と、今の彼はガラリと180゚変わった。 何せ、全身黒一色に黒マント、黒のバイザーをしていたのだから、ガラリと変わるのも無理ない。 『テンカワ・アキト』少佐(予備役)― アキト「まだ納得いかないな。」 鍋の中の汁を啜り、首を傾げるアキト。 何を作っているかと言うと、彼が五感を無くす前に作ったオリジナルの『テンカワ特製ラーメン』である。 1年間の間に、料理の腕を上げたのだが、いまいち、ラーメンの味に納得いかないようだった。 アキト「どうしたものか……。」 さらに首を傾げる。
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