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腕を組んでさらに悩み続けるアキト。
しまいには右手に顎を乗せている。
アキト「もう一回、ホウメイさんの所へ行くっきゃないか。」
ホウメイとは、初代ナデシコAで会った女性料理人。
アキトの師であり、かつてのナデシコAでコックを担当していたアキトも、よく世話になっていた。
現在は横浜に料理店を経営しており、うまいと評判である。
と、アキトが考え込んでいる時にガチャリ、と玄関の開く音がした。
薄い桃色の長い髪をした少女だった。
『ラピス・ラズリ』―
ラピス「オ父サン、タダイマ!」
言葉は、まだ片言な所が多いが、ちゃんと会話も出来、性格も大夫明るくなった。
アキト「お帰り、ラピス。」
因みに、ラピスは小学6年である。
エプロン姿で玄関に出迎えると、もう1人、女性が見えた。
元戦艦『ヤマト』乗組員―
『森 雪』大尉(予備役)―
森「あら、アキトさん。また味の研究でもしてらしていたんですか?」
お転婆なユリカと違い、ちゃんとした大人の美しさのある森(談アキト)。
アキト「どうも、雪さん。いつもすみません。」
頭を軽く下げる。
アキト「って、そう言えば、随分と早くないですか?」
いつもなら、4時ぐらいの帰りであるのだが、今は10:00。
今更ながら、気付いたのである。
ラピス「オ父サン、知ラナカッタノ?」
可愛らしげに首を軽く傾げる。
アキト「はい?」
頭の上にクエスチョンを浮かべる。
フフッと森が笑うと、ラピスの変わりに答えた。
森「アキトさん、今日からラピスちゃんは夏休みですよ。」
アキト「あっ、そうだった!」
しまった、と言いたげな表情。
森「それに、今日は慰霊祭です。」
とはいっても、実地するのは昼の3時頃である。
ラピス「母サン、今日帰ッテクル?」
これは無論、ユリカのことを言っているが、ある意味、違和感を持つ方が多いだろう。
何せ、以前ラピスは、アキトと名前で呼んでいたのだから。
因みに、そう呼ばさせたのが、他でもないユリカである。
当時、ラピスにオ母サンと呼ばれて……。
ユリカ「お母さんって呼んでくれたァ!」
等と、ラピスを抱き締めながら騒いでいた。
アキト「確か到着は、11:00か。」
部屋の時計を見て確かめる。
森「後30分位ですからね。私は出迎えに行きますが、アキトさん達はどうします?」
アキト「俺も行きます。行かないと何言われるか分かったもんじゃないですから。」
森「わかりました。」
アキト「じゃ、俺すぐに支度しますんで! ラピスも急いで!」
慌ただしく家の中を走ること5分。
準備を整えた3人は車で、宇宙港へ向かった。
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