プロローグ

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  目はたれ目で奥二重。 鼻は低くて平べったい。 唇は小さくて色素が薄い。 私は『ブス』 小さい頃から、自分の容姿の酷さは知っている。 だから「可愛い」だなんて言われても、それは嘘。 そんな事を言う人は、私をバカにしているだけ。 『私はブスじゃなくて良かった』 みんな心の隅で、そう思っているんだから。 昔、えたや非人ってあったでしょう? あれは、平民が政府に不満を抱かせないために作ったんだよね。 自分より酷い暮らしの人を見て『自分はえた、非人の人達より裕福だ』と優越感を味わう。 それだけで人は安心するんだ。 私はまさにソレ。 人間達が世の中に不満を抱かせないようにするため、神は私のような『ブス』を作る。 もちろん彼氏なんて、生まれて十六年間いたことなんてない。 『ブス』を相手にしてくれる人なんて、いないでしょう? だから、びっくりしたの。 私を認めてくれている存在に。
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