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「ふ~ん……そういえば、保健室までありがとうね」
どうでも良い内容に適当な返事を返し、自分の言いたかったことをぶつけた。
あの時、もしあのまま放置されていたら、何人の人に見られただろう。
その場から立ち去る手伝いをしてくれたことに感謝だ。
運び方は雑だったけど。
晋くんは(大して動いてはいなかったのだが)一切の動作を止めて私を凝視する。
「……お前、サバサバしてるんだな」
やっと出てきた晋くんの言葉は嫌味のようで、私は眉を寄せ睨んだ。
「悪い?」
鼻をフンッと誇らしげに鳴らした。
「一応誉めてるんだけど」
「そりゃどうも」
「一応」という言葉が私にはどう転がしても、皮肉に聞こえてしまい納得いかない。
しかし、これ以上言い争いをしても得はしないため、適当な返事をして会話を無理矢理打ち切る。
「冷たいな」
「そういう性格ですから」
「ふ~ん」
また妖しい笑みを浮かべたので「今度は何?」なんて警戒しながら疑問をぶつけた。
「……何が言いたいの?」
意味不明な男に勇気を持って言えたことに感動を覚え、自分自身に二泊三日の温泉旅行(豪華料理付)をプレゼントしてあげたい程誉めてあげたい。
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