8089人が本棚に入れています
本棚に追加
/604ページ
この学園には松寮・竹寮・梅寮の三つの寮がある。
この三つの寮は特に何かが違うという訳ではなく、ただ生徒数が多いため分けたようだ。
一部屋を二人で使うのだが、ルームメイトは各自で見つけなければならない。
この寮の名前を聞いたとき、理事長ネーミングセンスを疑ってしまったのはどうでも良いことだが。
松竹梅って……
「私は松寮」
「偶然だな。俺も松なんだよ」
さっきまで遠くの席に座っていた晋くんが、話に入るように私の後ろからひょっこりと顔を出して言う。
「そーですか」
私はあゆ姉に言ったつもりで、この男に言ったつもりは毛頭ない。
勝手に話に入ってくるなと言いたかったが、初対面の人にそれはマズいと思ったので必死に言葉を飲み込む。
「じゃあ美春、さっさと寮に行きなさい。ルームメイトを早く探さないと、いなくなるわよ」
あゆ姉は私の不機嫌な様子を見て苦笑いをしながら、手をパンパンと叩く。
「うそっ!」
最初のコメントを投稿しよう!