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「……どうしよう」
もしかしたら、ルームメイトはなしで一人部屋になるかもしれない。
一人なら一人で、気を遣う相手もいなくのびのびとできるだろう。
「俺がいるぞ」
いつの間にか私の後を追い駆けて来た晋くんが、器用ににウインクしながら言っている。
彼のその周りには、幻覚で見えるきらびやかな星が四方八方にたくさん飛び散っていた。
きっとさっきまで「晋く~ん」なんて騒いでいた女子達がいたら、鼻血を出して失神していたに違いない。
そんなことを思っている私も、なぜかときめいてしまった。
早くなる胸の鼓動を抑えようと深呼吸すれば、冷静さを取り戻し新たな問題に気がつく。
「『俺がいるぞ』って……?」
「俺がルームメイトになってやるっていう意味」
再びニコッと笑う晋くんを、私は驚きのあまり立ち止まって凝視してしまった。
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