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「はぁ?」
ルームメイトに関する決まりはなく、同じ寮の人であれば異性とでもいいらしい。
いくら教訓が『自由』だからって、さすがにこれはマズいんじゃないの?
と思ってたのだが、『私には関係ない』と深く考えていなかった。
異性をルームメイトにする場合、たいてい容姿の整った人を選ぶはず。
それなのに深海魚みたいな私をルームメイトにしようとしている彼は、何を考えているのか。
……何も考えていないのかもしれない。
「やだよ……先、行けば?」
「早く行くと、女子達がうるさいんだよ」
ああ……なるほど。
「でも、あんたと一緒の部屋は嫌」
舌を出して拒否すれば、晋くんは少し一点を見つめた後、少し不機嫌そうな顔で言う。
「『あんた』じゃなくて『矢上晋』。自分で注意しといて、人の事言えないな」
「はいはい、すみませんでした。晋くん」
トゲトゲしい言い方で言葉を放ちながら、頬を膨らませた。
「……晋くんって、気持ち悪い」
「そんなの自覚してますけど?」
「そういう意味じゃなくて、『くん』いらない」
「注文多いなぁ。晋ね晋。もう分かったわよ」
少しイラつきながらだが相手の要求に従うと、晋はそれに満足したようで気持ち悪いくらいニヤけてる。
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