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そんな事は置いといて、残っている生徒を確認しようと周りを見渡す。
私と晋。
それと眼鏡を掛けていて、『ガリ勉』と呼ばれそうな優等生みたいな人。
「ぼ、僕は桑名壱(クワナ イチ)です」
オドオドしてる姿が、今までに会った事のないようなタイプの人だったので妙に新鮮だった。
もう一人は坊主の頭を三ヶ月程放置したように、少しツンツンと髪が生えた人。
きっと中学生の時に野球をやっていたに違いない。
グローブ片手に顔を土だらけにして、ボールを追いかけてそう……汗が似合う爽やか青年だ。
「俺は東出靖(ヒガシデ ヤス)だ」
「……もしかして、靖?」
どこかで聞いたことのある名前にまさかと思い、目を細めて彼の事を凝視する。
「……春!?」
やはり勘違いではなかったみたいで、向こうも何かを思い出したように指を差してきた。
「久しぶり」
久しぶりの再会に嬉しさを感じ、興奮のあまり靖の肩を容赦なしにバシバシ叩く。
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