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「お前ら……盛り上がるのはいいが、早くルームメイトを決めてくれ」
業を煮やした先生が腕を組ながら睨んでくるのでびっくりしたが、これ以上怒らせてはいけないと無意識の内に感じ本題へ戻る。
「じゃあ私、靖とがいいな。知ってる人なら安心だし」
靖の意見を聞こうとチラリと見れば、お決まりの爽やかな笑顔を振り撒きながら言う。
「俺は別にいいぜ?でも野球は大好きだぞ」
この状況で「野球が好き」という発言は明らかにおかしいと思うが、私だけは顔を真っ青にさせた。
「まさか……あのポスターやグッズや……」
「もちろん……あるぜ」
小学生の頃、一回だけ靖の家へ行ったのを覚えている。
壁一面には野球選手のポスター。
ガラス張りの棚の中には野球選手のフィギュア・カード。
もちろん棚の上にはサイン入りのボールやバットがあった。
部屋全体が、靖の贔屓する野球チームでいっぱいだったのだ。
その迫力に思わず棚のガラスを触ろうとしたら、靖に怒鳴られてしまった。
野球選手に囲まれ、しかもそれらに触れようとしたら怒鳴られる。
こんな生活耐えられるはずがない。
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