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こんなゲームを知っていますか?
まずトランプのカードを用意する。
ゲームに参加する人間が六人なら六枚。
中に、スペードの
ジャックと
ジョーカーを混ぜておく。
その六枚のカードを裏返しにして、
一人ずつカードを引く。
スペードのジャックを引いた者は
『探偵』だ。
そして、ジョーカーを引いた者は
『犯人』だ。
さあ、貴方も一枚引こう。
『探偵』に当たった者は名乗り出る。
『犯人』は黙っている。
これで準備は終りである。
貴方の引いたカードはどちらでもなかったようだ。
さて、…六人はお互いの顔がよく見え、
各々が言葉を交わせるような距離に座る。
寛いだ、
親密な、
それでいてよそよそしい位置に。
さあ、みんなで雑談を始めよう。
内容は何でもいい。
-----とにかく、
誰でもいいから相手をつかまえて
延々と談笑しよう。
ただ、貴方は、
話をしている間は
相手の顔をじっと見ていなければならない。
そして、
一人だけではなく
入れ替わり立ち替わり
全員のメンバーと話をしなければならないのだ。
六人は和やかに話し続ける。
しかし
ある瞬間、
それまで笑顔を向けていた貴方と話しをしていた相手が、
バチッと
大きく目くばせする。
そう、その人物は
『犯人』
だったのだ。
この瞬間、
貴方は
その人物に殺されたのだ。
貴方は殺された。
しかし、
被害者つまり、貴方は
『犯人』
を逃がさなければならない。
貴方はゆっくり心の中で
五つ数えてから、
突然『死んだ!』と
叫ぶのだ ----。
ここでゲームはいったん中断する。
『探偵』は
ぐるりとみんなを見回して、
『犯人』を
当てなければならない。
もし一度で当てられなければ、
ゲームは再開される。
再び六人は何食わぬ顔で話を始める。
『犯人』が
『探偵』によって
発見され、
捕まえられるまで、
このゲームは
続けられる ----。
私たちの学校にある
『行事』は、
ちょうどこのゲームに
似ていた。
それがいつ始まり、
誰が始めたのかは、
正確には分からない。
しかし、
それは、三年に一度、
必ず行われるのだ。
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