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訝[イブカ]しげな視線の山。 あれが“やじうま”というのは知ってる。 “じけん”があったりするとできるあの人だかりだ。   「ほら!唯。立て」   貴浩に手を引かれてご主人さまがやっとその場から立ち上がる。 僕には視線を合わせないまま、貴浩の腕にしがみついた。   「お前も着いてこいよ?」   貴浩がどこまで把握[ハアク]しているのか知らないけど、たとえ事情がわからなくとも動じない人だ。 公正で、平等で…情に厚い。
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