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「おはょ」
「おう仲田」
高橋は相変わらず、仲田をサン付けで呼ばない。
「金曜日、祥にいたんでしょ?」
あいが小声で話す。
「田中さんとふたりでいたらよ、竹本さんから店に電話入って、すぐ逃げたんだ!」
高橋も小声になる。
「やっぱりなぁ!あいもその立場なら、即逃げる!」
「だろ?!」
「あいなんて、帰り際に捕まったょ・・・残業で疲れてんのにさ・・・」
「運悪かったな!」
二人は笑って話していた。
昼休みを終え、更衣室にカバンを置きに行ったあい。
ガチャッ
ロッカーを開けて、あいは驚いた。
「!ファブ○ーズが・・・」
あいのいつもと違う声に、隣にいた蛯原もはっとする。
「どうしたの?」
あいのロッカーの中はビショビショだった。
中に置いておいたファブ○ーズのキャップが開けられ、中身がぶちまけられていた。
サニタリー用品も、メモやティッシュもぐしゃぐしゃになり、代えのワイシャツも濡れている。
「ひどぃ・・・」
あいは泣きそうになった。
蛯原は気の毒そうに
「大丈夫?」
と声をかけてきた。
「はい!まぁなんとか!」
あいはひきつった笑顔で答える。
蛯原は余計な事を言わず、デスクに戻る。昼休みが終われば電話対応に追われるからだ。1人は必ず席にいなければならない。
「・・・誰・・・?」
頭の中では、あの人ではないかと予想はついた。
「清野さん・・・?」
あいはサッと片付け、デスクについた。
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