男と女

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二人きりになったあいと高橋。だからといって、気まずくなる事は無かった。 「最近どーよ、水口さん!」 高橋が聞く。 「好きだねぇ。相変わらず何の進展もナイけど!」 あいはグラスを持ったまま話す。 「早く告ったほーがいいぞ!?時間ねーんだし」 「うん・・・」 あいはうつ向く。 水口も、この現場工事が終わってしまえば、関東へ帰ってしまう。 今は1月。 早くて2月との噂もある。 ちょっと工事が遅れ気味なのも知ってる。 もしかしたら、春まで・・・夏までいるかもしれない・・・ 完成は10月。 時間に余裕があるワケではない。 「・・・んまぁ、フラれるにしても、気持ち言った方がいいぞ?」 真面目な顔をする高橋。 「ぅん・・・言うつもりだょ・・・」 あいは目を反らす。 カクテルを一口飲み、グラスをちょっと強く置く。 「自分はどーなのさ!」 あいは高橋をちょっと睨みつけた。 「小渕サンの事か!?」 高橋は表情を変えない。 「えっ!!!」 あいはビックリした。 「私、知らない事になってるんじゃ・・・」と思っていたからだ。 「聞いてるんだろ?小渕さんから。」 「うん・・・」 あいはまだ戸惑っていた。 「・・・お前も大変だよな・・・。」 高橋には、今のあいの状況がわかっていた。 「ってかぶっちゃけさぁ」 高橋の表情が曇る。
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