7/12
前へ
/227ページ
次へ
夕方になり、みどりと百合子が家に来た。 部屋に上がってもらい、とりあえず飲み物を出した。 『どうぞ…』 「どうも…」 「ありがと☆」 『…』 「…」 あたしも百合子も、お互い無言だった。 「あんたさ…」 先に口を開いたのは、百合子だった。 『…なに?』 「いつから先生と付き合ってるの?」 『…夏休みから』 「そう…。あたしが先生に告白するって言ったとき…何で言わなかったの?」 『言えないよ…』 「そうだよね…。 あたしさ、先生に美優と付き合ってるって聞いて、すごいショックで…バラしてやろうかと思った。 でも、先生が…さ」 百合子の目からは涙が流れていた。 『百合子…』 「先生が…「俺はどうでもいいから、美優だけは傷付けないでくれ。頼む…」 って…頭下げてきたの。 先生は、美優の事本気なんだなって思った。 だから…あたしは、バラさないし、邪魔しないよ。 好きな人が幸せで、あたしも幸せだから…」 『百合子………』 百合子の言葉に涙が溢れた。 「キスしてごめん…見てたんだよね?」 『ううん…ありがとう…』 百合子…ありがとう。 百合子は、あたしが思ってたより純粋で、いい子だった。 嫌いなタイプだったのに この件で、百合子と仲良くなりたい そう思った。
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1636人が本棚に入れています
本棚に追加