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「おはよっす、亮。」
「お~う、はよ。」
げた箱にて友人と挨拶を交わす。
学園までは電車で約30分、更に自転車で20分という時間が掛かってしまう。
かなりの長旅だ。
それもこれも、まず自宅が遠い。更に最寄り駅までの電車代が高いせいだった。
だが、亮は生活に満足している。
サッカー部であるからして、スタミナは必要。だから彼は自ら進んで自転車通学をしているのだ。
「タカ先輩!っはよーざいます!!」
教室へ向かう途中、精一杯元気な声をかけられる。サッカー部の後輩だった。
「おぉ、はよー。」
普通なら驚いてしまうような大声が廊下に響いて周りが注目する。が、それも一瞬だけだ。原因がわかると皆特に反応せず、廊下を歩く。
亮は苦笑しながらも挨拶に応えた。
この光景が二、三度続くのだ。
亮が教室に行くまでの間会う後輩の数にもよるが平均してその位。
何故、他の人が驚かないかというのはこれが答え。
皆、見飽きているのだ。よもや其れが日常的なものであった。
高井 亮は後輩からかなり好かれている。面倒見が良いせいか、兄貴体質なのか
とりあえず、彼を慕う後輩は多い。
普通の高校生と言いながらも
かなり普通から逸脱した生活をしている亮。だけれど、彼にとっての普通はこれなのだ。
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