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「じゃあまた部活でな。」
今日三度目の挨拶を交わして、進もうとした時…。
「ぉわっ!」
体にドンっと言う衝撃が走って、バランスを崩す。
が、そこまで強い衝撃ではなかったし、サッカーで体を鍛えているので尻餅をつくことはなかった。
「っ、わりぃ」
自分の前方不注意でぶつかったので亮は瞬間的に誤る。
顔を前に向けた時、目に入ってきたのは妙に顔が整っている焦げ茶色の髪をした青年。
相手が男なのはわかっているのに、思わず亮の頭の中に浮かんだ言葉は[綺麗]。
その一つだけだった。
「ぁ、いや別に平気…」
同時に学園のチャイムがなり、相手の声より先に亮に認識される。
途端に慌てる亮。
「やべッ。あっ、本当悪かったな!」
チャッと片手を上げ、謝ると教室へ急ぐ。今日は予鈴後に小テストがあるのを思い出したのだ。
取り残された青年は暫く動かない。
「奏?どうしたんだよ、早く行かないと本鈴鳴るぜ?」
「あ、あぁ…悪い、深一。行くか。」
ようやくその青年は自分の今日へと歩き出した。
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