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「ねえ、篤、何か歌おうよ」 「歌わねえ。いいから風呂入って来い。」 もう、いつも通りで芸がない。 アミューズメント的なファンタジーな事は、篤に求めちゃダメだ。 はいはい、わかってますよ。 キレイに磨きあげたら、甘えた声で呼べばいいんでしょ。 今日のパンツかわいいのにな。この人に下着なんて見せたことあったっけ? 家から出る時洗った身体を、1時間もしない内にまた洗う。 たっぷり泡立てて、手だけで洗う。 家のボディーシャンプーの方がいい香りなんだけどな。 今度持って来てみよう。 バスタブに沈んでゆっくり一息つく。 「おい」 「いいよ、来て」 篤は、すでに裸になっていた。 最初の日から、こうして篤を洗うのが暗黙の了解になっていて、この人は、ずっと誰とでもこうしてきたんだろうか。 泡立てて、手で洗う。 自分の手だけど、篤の肌に触れるとなんか違う。 たかが皮膚。みんな、同じなのに違うんだよね。 特別な思い入れがあるわけじゃない。 篤だけに感じる事じゃない。 エステシャンとかだったら、客に触ってどう思うんだろう。 エッチ仕事の人達は? なんて、想像しても仕方ない。 ただなんとなく、もっと色んなモノに触ってみたい衝動にかられた。 触られる、のもいいかな。
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