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満月が空を覆っている。
綺麗な綺麗な満月が。
丸い丸い満月が。
雲ひとつない空に浮かぶ月は
何処か恐ろしく、何処か悲しい。
僕にはそんな風に見えた。
ζ(゚―゚;ζ「はぁ………はぁ………!」
呼吸は荒く、その声すら上擦ったような感じで出てしまう。
勤務時間は終わり、人は皆居なくなったビルの非常階段をかけあがる。
ζ(゚―゚;ζ「はぁ………はぁ………!」
歳は20代後半といったところだろうか。綺麗に巻いた茶色の髪は走っている間に乱れ、それすら気にせず一心不乱に階段をかけのぼった。
ζ(゚―゚;ζ「どうしよう…………どうしよう………?」
上擦った声は自ら恐怖心を煽った。
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