人の話:思う節

2/4
前へ
/25ページ
次へ
      『むかし、むかし。 人間になりたかった猫がいたんだよ』 「人間にぃ?」  暖炉の中で揺れる炎がきらびやかに光る。 部屋の暖かさとおばあちゃんの温もりが一緒に包み込んでくれる。    昔。祖母に繰り返し繰り返し話してもらった夢物語。  報われない猫のお話。     「……っちゃん? ……りっちゃん。 この家具は此処でいいかな?」  わたしは此処に居るのに……。    トリップしていたらしく、我に返ってハッとなった。    
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加