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あれはいつだったか。
今も昔もあまり変わらない。 国と国との間にに見えぬ壁があり、 でも、 今より壁が更に高くて、 自分の国以外は総て敵だった時代。 そんな時代が終わった少し後のお話。
ある貴族的な屋敷に居た少女は何時も泣いていた。
友達もいない。 周りは富・名誉・名声・金にしか目が向かない大人、 そんな大人の世話係りばかり。
そんな奴等に媚びへつらう自分の親は、 自分達より階級が上のお金持ちにならどんなにタヌキだろうと、 あるいはどんなに脂が乗っていようと、 我が子をくれてしまえるような人。
あるのは孤独・不安・虚勢・偽善・矛盾。
少女の心の支えは一匹の黒猫だけだった。
「大人って汚い!!」
『泣かないで!! あぁ、 オイラの声が彼女に届いていれば……』
少しは違っていたかもしれないと猫は悔いた。 嘆いた。
「唯一の支えはお前だけよ。 私が私でないようなこんな世界なんて……」
『そんな事思わないで。 オイラはなんて役立たずなんだろう』
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