猫の話:禍つ猫

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  『食ったのか?』 『食ワナケレバ死ヌ』 『生きていた奴もいた』 『ダガ、 ドウセ死ヌ運命ダッタ』 『運命なら助けないのか?』 『食ッタコトデ助ケタコトニハナラヌカ?』  あぁ、 こいつは疑問を持ちはじめている。 『己が生きていれば食った命も生きると?』 『違ウノカ?』 『ならばお前は生きているのか?』 『コンナ状態ニ在リナガラモ……』 『そんな状態に在りながらも……』  もう、 互いに何も言わなかった。 話す必要も無かった。  只、 目と目が合って。 互いに、 一斉に動き出した頃には勝敗が決まっていた。  喉笛を噛み千切った顎からは鮮血が垂れ、黒髪は紅く血塗られた。    
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