天狗と狐、涼を求める

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「暑い…。よくもまぁ、朝っぱらから暑く照らしてくれるなぁ。お天道様ってのは…」   街は今日も朝から30度を越えるような暑さに見舞われていた。 街唯一の神社の裏の森より更に奥の山…言わば山奥に住む、一人の天狗・太夫は、団扇で扇ぐ頼りない、ジンワリと生暖かい風に当たりながら、汗をボタリボタリと落とす。   舌を犬の様に出し、体温調整をするかのようにハッハッとしてみる。   …が、所詮天狗と犬。 生態的に仕組みが違う。犬みたいにしても効果がない。 むしろ、逆に暑くなって来る。
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