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『太夫も馬鹿よねー…。そんな木の天辺(てっぺん)にいるから、直にお日様の熱が当たるんじゃない…。木陰にくれば、も少し涼しいわよ?』
と、太夫が横になる太い幹の木の下にいる、一匹の白狐・清子が呆れた様な声で言った。
「ほっとけ。俺は木の上が好きなんだよ」
『…天狗の意地って奴ですか。ハイハイ。お好きになさいな。そこで丸焦げになっても仕方ないわね。これからまだ暑くなるって、昨日言ってたわよ?』
「…どこでそんな情報を仕入れて来るんだ、女狐」
太夫はチラと下の清子を見る。
日の光を受けて、清子の白い毛がキラキラと光る。
少し眩しい位だが。
『たまたま街に行ってたら、ニュースの天気予報で言ってたわ。…電機屋のショーウィンドウ越しだけどね』
清子は、人間に化ける事が出来、時々人間に化けては色々と見て回ったり、おやつなどを買ったりしていた。
…金の出所は、太夫にも判らないが。
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