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そんなつまらない話をしている間も、日光は容赦無く太夫に殺人的な暑さをお見舞いする。
さすがに太夫も降参したらしく、ゆるゆると下に降りて来る。
悔しいが、清子の言う通り、木陰はさっきまでいた天辺よりかは涼しい。
あのまま片意地を張って、横になっていたら、恐らく天狗の丸焼きが出来ていただろう。
『ね?だからアタシが言ったじゃない。こっちが涼しいわよって』
「…ぶぅ」
清子の言葉にブゥと膨れる。
「…しかしさ。こう…何か涼しくなる事ってねぇかなぁ?何でもいいんだよ」
『涼しくなる、事…?怪談話とか肝試しとか?』
「阿呆ぅ。天狗と女狐が怪談話と肝試しで涼を取るなんて、古今東西前人未到一切合切聞いた事無いぞ?」
『…何か余計な単語が多いわよ。……でも、他に何があるのよ?堂々と人間の目の前に、出る訳にもいかないし…』
うーんと腕を組み、考えて見るが、いい案が浮かばない。
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