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「後少しでお別れよ
その前にこの子と話す?」
そう聞かれた。
どうやら、意識が薄れて話しづらくなっているらしい。
「隆……」
声が少し変わった。
「猫の……香奈?」
「うん、そうだよ隆」
猫に意識を渡す前に言われた
この子、隆が好きみたいよ
一応言っとくけど……
愛してるって事ね
そう言われ、意識が変わった
「その……私、隆の事」
「好きなの?」
猫と話すという、不思議な感覚にも慣れてきた。
「……うん」
恥ずかしそうに答えた。
「だから、
私を香奈さんだと思って!?」
体を持ち上げ、抱き締めた。
「良いよ
自分じゃ無い人を被せて好きになられるなんて嫌でしょ?」
「で、でも!!」
「君を好きになるよ……
まだ無理かも知れないけど
必ず……
香奈が許してくれた
だから……俺も
過去にこだわってばっかりじゃ駄目なんだ」
「隆……ありがと
愛してるから」
その時
あれから初めて
心の底から笑った気がした。
その後、意識が変わり
「やっと笑ったね
寂しいけどお別れ……
人じゃ無いけど
まぁ頑張りなよ!!」
そして、香奈は消えた。
思い出になり……
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