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「……か、お……、て」
ゆっくり目を開ける。
何時ものように、香奈が俺の横にいた。
「隆……私よ」
か…香奈?
「香奈!?」
勢いよく飛び起きた。
「キャ!!」
え……
香奈の声
香奈が喋っている。
猫が……
「どうして……」
「全く、
私の事引きずりすぎよ」
「でもあれは俺のせいで」
香奈が溜め息をつく。
「てか、何で香奈が」
「この子に隆と話したいって相談したら了承してくれたから」
そんな簡単に……
話せる物なのか?
多少疑問が残ったが
一応、香奈という事が分かったので少し強引に話を進める事にした。
「最初はね……
確かに隆を恨んだよ
でも……
隆が凄く苦しんでるのを見て
私の墓の前で……
一生お前が好きだから
何て泣きながら言うんだもん」
「…………」
確かに俺は言った。
好きだから、もう恋はしない
関係も持たない。
だから……
遊びの誘いも断り
友達も居ない。
そう誓い、今もそうだ。
「だからね
もう私は良いから
好きな子ぐらい作りなさいよ
隆が笑わないと……
私、悲しいよ?」
そう言われた、
でもまだ……
「俺はまだ香奈が……」
そう言って気付いた。
「そうだ!!
この状態なら俺とも話せる
それに香奈を好きでいられる
だから……」
しかし、悲しみを含めた声で
「ごめん、無理なの
後少しで私はこの世には…
留まれ無くなる
そうなる前に許された一度だけの行為なの」
俺はそれを聞いて泣いていた
「馬鹿ね……
早く忘れれば楽だったのに
本当に……」
香奈の声も震えていた。
猫でなく
人の姿なら泣いていただろう
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