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「そう渋い顔をするな。少年、君は妖怪はいると思うか?」
「…………」
何故そうなる?
話の流れも質問の意図も全く分からない。
この曲者は、何を言わんとしているのだろう。
「眠気を我慢して身の上話をするんだ。答えてくれ」
「……いないと思います」
それを聞いて、曲者は不敵に笑みながら腰掛けていた窓から立ち上がる。
「そうだろう、そうだろう。常識があればそう答えるだろう。否定には証明の必要がないからな。だがな、少年――」
俺はその言葉の切れ目を縫うように続ける。
「でも、いたらいいな、とは思います」
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