九日目

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〇 「っ……!」 ベッドから飛び起きる。反射的に制服を一式引っ掴み、即、着替える。 時計の針はもうすぐ七時半を回ろうとしていた。 手櫛で寝癖を整えながら(気休めだ。直った試しがない)、転がるように階段を下りる。 ――と。 「…………」 「おはよう、夏風」 下りたところで夏風と鉢合わせる。 朝食を待ちきれず起こしに来た、といったところだろうか。 悪いことをした。 「すぐに支度するから、もう少し待っててくれ」 言いながら脇を通り抜けようとし、 「…………」 ブレザーの裾を掴まれる。 そうして俺に先行するよう歩き出し、三歩進んだところで振り返り、親指を立てて背後を指す。 焦るなよ、まあゆっくり着いてこいや。 あたかも、そう言わんばかりに。 逸る気を無理に落ち着けながら、忘れ物などがないか頭の中で確認しつつ夏風に続く。 気が抜けたのだろう。 どんなにうだうだ考えようが自己嫌悪に陥ろうが、体は正直だったようだ。 昨日までの疲れは大方抜けている。 それで寝坊したのだから、格好がつかないが。
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