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果たして、というべきか、否か。
「あ、先輩。おはよう」
食卓は既に万端だった。
鰆の照り焼きに温野菜、あさげの匂いはいつもより角が取れている。
「何だ、これ……」
寝坊の焦りも吹き飛んだ。
目の前の光景にしばし、茫然。
「あの、先輩?」
「あ、ああ……、おはよう」
ようやくそれだけ返事をするが、未だに状況を飲み込めない。
ただ、
「春風、もう大丈夫なのか?」
「……うん」
間抜けな聞き方ながら、ようやくそれを口にする。
制服にエプロンを着けた春風は、やや罰が悪そうにではあったが、頷いた。
「本当は一晩したら落ち着いたんだけど、なんか、どんな顔したらいいか分かんなくて……」
「もう平気だっていうなら、それでいい」
そもそも春風がそんな気負いをする理由もない。
顔向けできないのは俺の方だ。
「いや、なんて言うか……、ありがとう、先輩」
「ありがとう、か……。俺は最後まで手も足も出なかったけどな」
ごめんなさい、と。
謝罪が許されるならば謝りたい。
そうすべきではないとも、分かってはいるが。
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