はじまりの物語。

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あの日         私は生まれたのだろう。       母が身体にまとわりついた 粘膜を舐めてくれた感触を憶えている。     私は5匹兄妹の長女だった。     今考えると 5月にしては珍しいほど冷たく,大粒の雨が降り注いでいた。     一番下の弟と妹は生まれてすぐ息を引き取った…     私のすぐ傍で ゆっくりと冷たくなっていく2人の身体…       瞳はまだ開かなかった。       ただすぐそこにあった温もりが 徐々に消えて行く感覚を憶えている。      
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