11月2日

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『 私が生まれたのは古びたビニールハウスなの。 砂漠なんて野蛮な所じゃないわ。 私を可愛がってくれたおばあちゃんは、いつもあたしに話しかけてくれたわ。 サボなんて貧相な名前じゃなくて、 もっと素敵な名前を付けてくれたの。 けれど次の日にはまた違う名前で私を呼ぶのよ。 確かにね、私だけじゃなく、 たくさんのサボテンを可愛がってくれていたから、わからなくなったのかもしれない。 フランソワ、マチルダ、サチコ、 タロウ、シンデレラ、マイケル、ヒメ …数え切れないくらい! 私はね、おばあちゃんが付けてくれる名前はいつも素敵で、とても嬉しかったの。 おばあちゃんが優しく名前を呼んでくれる事も、とても嬉しかった。 そう、どんな名前になるのか本当に楽しみだったわ。 明日はまた、優しい声でどんな名前を呼んでくれるのかしら?って、待ち遠しかったの。 』 ……… 『 ねえねえA、見て? 似合うでしょう?この赤と白の市松模様。 たしかあの子がAにくれた指輪だけど、 私がもらっちゃってもいいわよね? あの子は私に話しかけてくれることなんて一度もなかったけれど、 いつも優しい目で私を見てくれてたわ。 私もあの子が好きよ。 だから、この指輪、私も欲しい! ほら、私の右手にピッタリ! あなたより私の方が似合うじゃない? 』
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