サボテンショートケーキ

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サボテンショートケーキ

…夢? いつの間に眠ってしまったんだろう。 お月様が優しく照らしていた。 出窓のサボは、夜空を仰ぐようにシャンと、上を向いて立っていた。 ―元気になってくれたんだ、神様ありがとうー あたしもシャンと立って歩くよ。 案じるのは、今より少しだけ先の、明日の事まで。 あたしは、今と、今より少しだけ先の、明日を見つめて歩く。 何も、君と2人だけの世界ではないんだ。 あたしが勝手に作り上げたピンク色の世界。 昨日のこと、それはもうモノクロの思い出。 サボ、約束げんまんしよう。 「あれ?」 サボの手みたいな枝に、 あたしの左手に着けてたペアリングがはまっている。 ーいつの間に?ー まあでも今のあたしにはイタイ物だ。 捨てるのも忍びないから、 サボが着けてくれるのならば、嬉しい。 それに、とてもよく似合っている。 「ゆびきりげんまん うそついたら針千本飲~ます…」 サボなら針の千本くらい、すぐに用意できるだろうね。 「今日はもうすぐ終わってしまうから、 明日、苺と生クリームのケーキを食べよう。 サボが来て1年のお祝いと、サボ復帰祝い。 それと、これからも仲良く居られるように。 明日からも、よろしくね。」 サボは月明かりに、水滴をキラキラさせて光っている。 その粒は、ダイヤモンドや水晶よりも、もっと親しみやすい優しい感じで、 小さい頃に顕微鏡で見た、塩の結晶みたいだと思った。 もしかしてサボの元気がなくなってしまったのは、 昨日の夜にあたしが流した涙のせいかもしれない。
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