†恋の魔法は零時まで†

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吸血鬼という存在を、 私は信じていなかった。 それ以前に実在するだなんて、 考えてみたこともなかった。 彼、滝島 秦(タキシマ シン)と出会うまでは。 唐突に私の目の前に現れた彼。 夜空に飲まれそうな漆黒の髪に 控えめに輝く星のような、黄色の目。 目にした瞬間、私は固まった。 その存在全てが、私を引き寄せた。 強い衝動。 人はそれを、恋と呼ぶ。 「か…会長?」 「今晩は」 「な、何してるんですか?!」 「今日はええ満月やな」 最初の会話は多分、そんな感じだった。 チグハグで、筋の通らない会話。 突然ベランダに現れた人影は、 同じ学校の生徒で、そして有名な生徒会長で。 とりあえず、まずはそこにビックリ。 しかし、心底驚いたのはその先で 「俺、実は吸血鬼なんよ」 そんなことを、サラリと言われたことだ。 あの日のことを、私は今も 鮮明に覚えている。 .
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